CASE STUDY

東京都宅地建物取引業協会 杉並区支部 稲垣 雅也様 / 不動産(宅地建物取引業の業界団体/杉並区支部 副支部長・研修委員長)

不動産実務を、その場でAIに解かせる。宅建協会 杉並区支部のAI活用研修

顧客導入 時間を創る AI研修
杉並区支部研修会の会場。講師の夏井と、スクリーンに向かう参加者

この事例の要点

東京都宅建協会 杉並区支部の研修会で、不動産実務をその場でAIに解かせるライブデモ研修を行いました。物件紹介文から契約書のチェック、手書きラフからの間取り図まで7本。約70名が参加し、満足率は81%、「不満」と答えた人は0名でした。

  • 満足率(5段階で4以上)81%
  • 平均満足度(5段階)4.14
  • 「不満」と答えた人0名

状況

研修の表紙スライド。不動産実務をその場でAIに解かせるライブデモ研修
2026年9月15日、杉並区立産業商工会館で開催しました

公益社団法人東京都宅地建物取引業協会(東京都宅建協会)の杉並区支部は、杉並区で不動産業を営む会員が所属する支部です。支部では毎年、会員向けの研修会を開いています。

東京都宅建協会 杉並区支部 副支部長・研修委員長 稲垣雅也様

研修を企画しているのは、稲垣雅也様(杉並区支部 副支部長・研修委員長/株式会社エフエンタープライズ)。研修委員長は2016年から約10年務めています。ご自身も、ご両親の代から阿佐ヶ谷で続く不動産会社で、賃貸管理と売買を手がけています。

支部の研修会は、ふだんは200名前後が集まるホテルの会場で、著名人の講演などエンターテインメント性のある内容を中心にしてきました。今回のAI研修はそれとは別に、関心のある会員に向けて、専門的な内容を扱う70〜80名規模の回として企画されました。

今回、研修を企画した稲垣様に、企画の背景から当日の手応え、ご自身のその後までを伺いました。

課題

きっかけは、協会の本部からの要望でした。ニュースでAIが話題になるなか、各ブロックの研修委員長が集まる本部の会議で「AIの研修をやってほしい」という声が上がっていたのです。

一方で、稲垣様には会員の様子が見えていました。ご自身も、AIに興味はありながら、なかなか踏み込めずにいた一人です。

興味はあるんだけど、なかなか踏み込めなかったり、時間もなかったりで、面倒くさがってしまっている部分もありました。私と同じような感覚の会員さんが、非常に多いだろうなと思ったんです。

AIには、期待と同じくらい不安もついて回ります。

ニュースを見ると、いい話もあれば、陰謀論のような話もある。特殊詐欺でAIの技術が悪用されていたりもする。興味はあるけれど、変なものをつかまされるのが怖くて、先へ行けない人が多いと思いました。

だからこそ、信頼できる人から、実際の使い方を見せてもらう場が要る。企画の段階で求められていたのは、次の3つでした。

  • AIに初めて触れる会員にも、何ができるのかが伝わること
  • 一般論で終わらず、自分の業務に持ち帰れること
  • SNSにあふれる怪しい情報とは違う、安心して聞ける場であること

やったこと

1. 講義ではなく、不動産実務のライブデモにした

AIの仕組みを説明するのではなく、不動産会社の日常業務を、その場でAIに解かせて見せる構成にしました。題材にしたのは次の7本です。

  1. 物件紹介文の生成
  2. メールの返信文案
  3. 契約書の条文チェック
  4. 契約書の作成(Claude Cowork)
  5. 募集チラシの作成
  6. 手書きのラフから間取り図
  7. 法令チェック(NotebookLM)
研修のスケジュールを示したスライド。AI活用デモ7選
当日のスケジュール。約90分で7本のデモを行いました

2. 架空の物件1つで、7本のデモをつないだ

デモには架空の物件を1件用意し、紹介文、問い合わせへの返信、契約書、チラシ、間取り図と、1件の物件が成約に向かう流れに沿って7本をつなぎました。ばらばらの機能紹介ではなく、ふだんの仕事の順番で見てもらうためです。

デモに使う架空の物件情報をスクリーンに映して説明する様子
デモに使った架空の物件情報。この1件を7本のデモで使い回しました

いちばん反響が大きかったのは、手書きのラフから間取り図を作るデモです。アンケートの「最も印象に残った部分」でも1位でした。稲垣様も、そう答えた一人です。

私は間取り図をPowerPointで作っていたんです。今もメインはPowerPointです。AIで手書きから作れるなら、ひとつの選択肢になり得る。非常に興味深かったですね。

3. 道具の選び方まで見せた

ChatGPTだけでなく、Claude・Gemini・NotebookLMなど、目的に応じてどのAIを使えばよいかを一覧で示しました。アンケートでも「AIツールの選び方・使い分け」が、印象に残った部分の2位に入っています。

目的別に使うAIツールをまとめたスライド
目的別のツールマップ。1つのAIに頼らず、使い分けることを勧めました

生まれた時間で、何が変わったか

いちばんの変化は、会場の熱量でした。

今までは、質問が多くても3件くらいだったと思います。今回は5、6件。倍近い質問の量だなと思いましたね。
講師の問いかけに手を挙げる参加者
冒頭の「AI、どのくらい使っていますか?」という問いかけに、多くの手が挙がりました

集まった顔ぶれも、いつもとは違いました。

今まで研修会に足を運んでいただけなかった、初めてお会いするような方が多かった印象です。実際にAIを使っていて、これから本格的に運用していきたいと思っている方がお越しになっていました。

会場の都合で申し込みを締め切ったあとも、「まだ参加できますか」という問い合わせが続いたそうです。

質疑応答で特に多かったのは、賃貸管理の更新業務についての質問でした。どの契約がいつ更新を迎えるかを、紙のファイルや表計算で管理している会社は少なくありません。専用のソフトは月々の費用がかさむため、中小の会社では導入しにくい。「AIなら、自分たちに合う仕組みを作れるのではないか」という関心が、質問に表れていました。

アンケートでは、回答した58名のうち81%が「満足」以上と答え、「不満」と答えた人はいませんでした。

※ 2026年9月15日、研修の終了時に実施したアンケート(有効回答58名、出席は約70名)。満足率は5段階で4以上をつけた人の割合。

自由記述には、次のような声が寄せられました(原文のまま)。

  • 「AIを使って、業務上やってみたい事が増えました。今日は参加して良かったです!」
  • 「間取り作成や更新タイミングでのリマインドなど直ぐに導入できそうな機能は参考になりました。」
  • 「間取り図があそこまで作れるのは凄いと思いました。」
  • 「Geminiノートブックをさっそく使ってみようと思いました。」
  • 「プロンプトの指示がポイントだと思いました。GPTとClaudeの使い分けも参考になりました。」
  • 「デモンストレーションがわかりやすかったです。」
  • 「今はAIの時代なので、乗り遅れないように頑張りたいです。よい研修でした。」

研修のあとには、参加者の方から報告も届きました。知人が相続した戸建てに図面が残っておらず、手書きの間取りをもとに、無料版のChatGPTで間取り図を作れたそうです。

研修のあとで「個別に相談したい」「具体的に相談したい業務がある」と答えた方は、9名いました。

稲垣様ご自身も、動き始めています。これまでは、大家さんから家賃の見直しを相談されたときに、ChatGPTで周辺の賃料相場を調べる程度の使い方でした。研修のあと、さっそくClaudeをダウンロードされています。

研修の中でClaudeの話がよく出ていたので、一応ダウンロードまではしてみました。どんなものかなと調べたりして、今後使っていこうと思っています。
AIを使いこなしている方や、仕事にしている方と話す機会は、なかなかありません。SNSにも情報は出てきますが、怪しいものも多い。そういうところには踏み込みにくいけれど、協会のオフィシャルな研修会として開催できたことは、会員さんにとってすごく良かったと思います。入り口として、すごく良かったんじゃないかという印象です。 東京都宅地建物取引業協会 杉並区支部 稲垣 雅也様

次の一手

「難しかった」という声も、次の設計に生かす

アンケートでは、改善の声もいただきました。

  • 初心者には速い・用語が難しい(5件)
  • 自分で操作してみたい(3件)
  • 後ろの席から画面が見えにくい(3件)
  • 資料がほしい(2件)

AIを初めて使う方と、すでに使いこなしている方が同じ会場にいる。そのレベル差が、満足度「どちらでもない」の回答の主な理由でした。

そこで次回に向けて、稲垣様と次の2つを決めました。

  1. 約100語の用語集を事前に配り、予習してもらう。「ハルシネーション」のような言葉で、つまずかないようにするため
  2. 冒頭の30分を、AIが初めての方向けの導入にあてる。その後に、中級・上級の内容へ進む
「ハルシネーション」は私も初めて聞く単語で、その場でスマホで検索しました。同じタイミングで検索した人は多かったんじゃないかと思います。

業界団体・企業向けのAI研修をお受けしています

Aestaの研修は、参加者の業務そのものを題材に、その場でAIに解かせて見せるライブデモ形式です。業界や職種に合わせてデモを組み直し、会場の規模や参加者のレベルに合わせて構成を調整します。

研修のあとは、ご希望に応じて、自社の業務を題材にしたライブセッション(個別相談)もお受けしています。

会員向けの研修会でAIを取り上げたい。社員のAI活用を、一般論ではなく自社の業務から始めたい。まずはお気軽にお問い合わせください。

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