人が調べものをする方法は、もう変わりました。AIが答えを作るとき、自社の名前が挙がるかどうかが新しい入口です。WordPressとレンタルサーバーで運用しているサイトが今失っているものを5つ挙げ、その原因が1つであること、役割を3つに分ければ同時に解けることを、実測値と出典つきで説明します。

AIに聞いたら、ここを勧められた

私はもう、Google検索をほとんど使っていません。

先日も、大手町のあたりで少しパソコンを広げられる場所がないかと思って、AIに聞きました。返ってきたのは大手町プレイスの2階。行ってみたら、本当にちょうどよかった。それ以来、今でも使っています。AI聞いて、勧められて、行った。それだけです。従来のWeb検索の方法では、そもそも見つけることが難しいと思います。

また、吉祥寺でコワーキングスペースを運営している知り合いからも、同じ話を聞きました。最近、AI検索でおすすめされたという方が立て続けにコワーキングスペースへ来ているそうです。本人は特別なことをしていません。ただ、AIが答えを作るときの材料に、そのスペースの情報が入っていた。

これは私の周りだけの話ではありません。数字で証明されています。

検索は「リンクの提示」から「直接回答」へ。従来型検索とAI検索の違いを示した図

Pew Research Centerが2025年7月22日に公表した調査があります。米国の成人約900人の実際の閲覧履歴から、Google検索68,879件を調べたものです(データは2025年3月)。

それによると、検索結果にAIの要約が表示されたとき、下に並ぶリンクがクリックされた割合は8%でした。要約が表示されなかった検索では15%です。さらに、要約の中に出典として並んでいるリンクが押された割合は1%でした。

読み方に注意が必要です。これは米国のデータで、日本の数字ではありません。また「AI要約のせいでクリックが半分になった」と因果を示したものでもありません。AI要約が出やすいのは「〜とは」のような調べもの系の検索で、もともとクリックされにくい種類だった可能性が残ります(Google自身もこの調査の手法には反論しています)。それでも、事実として押さえておくべきことが2つあります。

1つは、AI要約が出た検索では、サイトへの流入はその程度しか起きていない。もう1つは、出典として名前が載っても、クリックはほとんど発生していない。

つまり、AIの答えの中で名前を挙げてもらえるかどうかがこれからは重要なのです。私が大手町プレイスに行ったのも、リンクを踏んだからではなく、AIに候補として場所をおすすめされたからです。

ここで一度、考えてみてください。

あなたの会社は、AIが答えるときに名前が挙がる側にいますか?

今、あなたのサイトが失っているもの

失われている5つのもの

「AI検索に出てこない」「ページが遅い」「セキュリティが不安」「プラグインの更新が面倒」。こうした話は、症状としてはよく語られます。ただ、症状のままだと動く理由になりません。その裏で何が失われているのかを見てください。

5つの症状と、その裏で失われているもの
症状失われているもの
AI検索で出てこない御社名を知らない人との接点が減っています。「この地域で〇〇に強いところは」と聞かれたとき、挙がるのは競合の名前です。
ページの表示速度が遅いページが開かれる前に離脱が起きます。広告費やSEOに払った費用が、中身を見られないまま消えています。
セキュリティが弱い止まっている間の売上、信用、そして復旧費。サイバー攻撃は起きた日だけでは終わりません。
プラグイン更新が手間更新という行為に時間が掛かります。そして自分で触らなくなり、情報が古いまま残ります。
保守を外部に任せきり思いついたときに自分ですぐに直せない。「あとで頼もう」が積み上がって、結局やらないまま終わります。

5つ目は、実際にご相談でよく出てきます。千葉県議会議員の鷲見隆仁様の公式サイトをリニューアルしたときも、出発点はここでした。

今までのサイトは、自分では何も操作ができなかったから、それを待つしかなかったんです。

悪い会社に頼んでいたわけではありません。地元の大きな制作会社で、担当の方は他の案件も多く抱えていて、単に忙しかった。仕組みとして、待つしかなかったのです。

当てはまるものは、いくつありますか?

  • 自社名で検索したとき以外、AIの回答に自社が出てこない
  • スマートフォンでトップページを開くと、表示まで3秒以上かかる
  • WordPressのプラグイン更新を、3ヶ月以上していない
  • 文章を1行直すのに、制作会社への依頼が必要
  • サイトの内容が、今の事業内容と少しずれている
  • サーバーの管理画面に、自社の誰もログインできない

3つ以上当てはまるなら、失っているものは決して小さくはありません。

なぜ「今」なのか

作り替えるなら、いつでもいい。そう思えるうちは動きません。ただ、AI時代の今、同時に3つのことが起きています。

人の調べ方が、もう変わっている

総務省の令和7年版 情報通信白書によると、日本で生成AIを使ったことがある人の割合は、2023年度の9.1%から2024年度は26.7%になりました。20代に限れば44.7%です。

1年で3倍近い。そして、若い層ほど高い。これから決裁する側になる人ほど、AIに聞いて決めることに抵抗がありません。

世界規模でも同じです。OpenAIは2026年2月27日、ChatGPTの週間利用者が9億人を超えたと発表しています。

攻撃する側が、AIで強くなった

ここは私自身の話をします。

会社の顔が知らない店に代わっていた

2025年7月、弊社のサイトが乗っ取られました。URLを開くと、ロシア語の通販サイトへ飛ばされる。自社のページは一切表示されない。会社の顔が、まったく知らない店の看板に差し替えられた状態でした。

バックアップから自力で復旧しました。ところが8月に、同じことが再発しました。バックドア——次に入るための裏口——が残されていたのだと思います。最終的には業者に依頼して、きちんと入り口を塞いでもらいました。

費用は数万円でした。弊社のサイトはページ数が少なかったからです。規模の大きいサイトで、どこが改ざんされたかの特定から始めるとなれば、数十万円から数百万円かかることもあり得ます(これは私の経験からの推測です。実際の金額は状況で大きく変わります)。

また、サイトが開かない間、問い合わせは1件も入りません。そして、取引先や知人が自社のURLを開いて、ロシア語の通販サイトが出てくる。この状態が何日も続くことの意味は、金額では測れません。

背景の数字も置いておきます。

Patchstackの「State of WordPress Security 2025」によると、2024年にWordPressのエコシステムで報告された脆弱性は7,966件。前年より34%増えています。そのうち96%はプラグイン由来です。1日あたり約22件のペースです。

そして2025年11月13日、Anthropicが、AIに攻撃を組み立てさせた大規模なスパイ活動を公表しました。同社の報告では、攻撃全体の80〜90%をAIが実行し、人が関わったのは1回の攻撃につき4〜6回程度の重要な判断だけだったとされています。

「弱いサイトを探して、入れるか試す」という作業が、人の手を離れました。私のサイトは、狙われたのではありません。ただ、順番が回ってきただけです。

まだ、日本ではほとんど誰もやっていない

W3Techsの調査では、CMSが判別できる.jpドメインのサイトのうち、78.7%がWordPressです(2026年9月時点)。

これは裏返すと、今この作り方に移った会社は、同じ業界の中でしばらく一人だけという状態になりやすい、ということです。

AIに引用される状態は、スイッチを押して今日から始まるものではありません。情報が整理されて置かれ、更新され続けて、少しずつ「この会社の事実はここを見れば分かる」という扱いになっていきます。積み上げで効くものは、早く始めた側が有利です。全員が対応し終えてからでは、差はつきません。

失われているものは5つ。でも、原因は1つ

ここまで5つの問題を挙げました。別々の問題に見えますが、原因は1つです。

更新する仕組み・見た目を作る仕組み・世界に届ける仕組みが、1つのシステムに束ねられている。

3つの役割が1つに絡まっている

WordPressとレンタルサーバーの組み合わせは、この3つが同じ場所に同居しています。同居していると、こうなります。

1か所を直すと、関係ないはずの別の場所が壊れることがある。だから触るのが怖い。プラグインの更新も後回しにする。放置された古いプラグインが、入り口になる。同じ理由で文章の修正も後回しになり、情報が古くなる。ページを表示するたびにデータベースに問い合わせて組み立てるので、表示も遅くなる。

1つの構造から、5つの症状が出ている。だから、構造を変えれば同時に解けます。

解き方:役割を3つに分ける

Sanity・Astro・Cloudflareの3つに役割を分けた構成図

弊社が使っているのは、Sanity・Astro・Cloudflareという3つの組み合わせです。名前は覚えなくて構いません。それぞれが何をしているかだけ、身近なものに置き換えます。

Sanity=書類棚

文章をページ単位で書きためるのではなく、事実を項目ごとにしまいます。会社名、住所、サービス名、料金、よくある質問、事例の数字。「どこに何が入っているか」が決まった棚です。ヘッドレスCMS——管理画面だけを持ち、見た目は持たないCMS——と呼ばれます。

Astro=印刷済みのページ

注文が来てから刷るのではなく、先に刷っておきます。書類棚の中身が変わったときだけ刷り直す。訪問者が来たときには、すでに出来上がったものを渡すだけです。

Cloudflare=全国の配送拠点

刷り上がったページを、世界中の拠点に置いておきます。アクセスしてきた人のいちばん近い拠点から届く。日本の1台のサーバーに全員が取りに来る形とは、そもそも構造が違います。

この3つに分けると、さきほどの5つがどうなるか。

5つの症状への効き方
症状なぜ解決するのか
AI検索で出てこない事実が項目として入っているので、AIが読み取るための構造化データ(JSON-LD=機械向けの要約表)を、本文と食い違いなく自動で出力できます
ページが遅いページは出来上がった状態で配信します。開くたびに組み立て直しません
セキュリティが弱い公開する側に、データベースもプラグインも置きません。入り口そのものが少なくなります
プラグイン更新が手間プラグイン更新という作業が、そもそも存在しません。更新は文章と写真の差し替えだけです
外注依存日常の更新は管理画面で完結します。コードを触るのは、設計そのものを変えるときだけです

実際のスコア

実測値を出します。

千葉県議会議員 鷲見隆仁様の公式サイトを、WordPressからこの構成に作り替えました。契約・ヒアリングを含めて約1ヶ月、正味の制作期間は約2週間です。

すみ隆仁公式サイト

表示速度スコア(モバイル)

6499

表示速度スコア(PC)

76100

SEOスコア

92100

ページの総容量(モバイル)

4.9MB1.0MB

PageSpeed Insights(Lighthouse)での計測値。計測環境により数値は変動します。

公開後は、鷲見様ご本人が管理画面から更新しています。

使っているのは特別な技術ではありません

Sanityは、AnthropicやShopifyといった企業が導入企業として公式に紹介されているCMSです。Anthropicの公式サイトは、実際にSanityから配信されています。世界では珍しくない作り方で、日本でまだ広まっていないだけです。

正直に言うと、ご自身でもできます

この作り方は公開されています。必要な情報はすべてインターネット上にあり、AIに聞きながら進めることもできます。実際、独学で組んでいる方もいます。

ただし、覚えることは少なくありません。どの情報をどの項目としてしまうかというコンテンツの設計。GitHubを使った変更履歴の管理。ビルドと公開の自動化。構造化データの書き方。画像の最適化。ドメインの切り替え(ここを間違えるとサイトが止まります)。問い合わせフォームと顧客管理の連携。

「できる」と「短期間で、止めずに、安心して公開できる」は別物です。

弊社はこの構成を複数回実装しています。だから正味2週間で公開まで持っていけます。学習に使う数ヶ月を、本業に戻したい方に向いています。逆に、時間をかけてでも自分で組みたい方は、そうするのが一番いいと思います。

「WordPressのままではダメですか?」

決してダメではありません。全否定はしません。

WordPressは優れたソフトウェアです。適切に設計して、きちんと運用すれば、速くも安全にもできます。問題はWordPressそのものではなく、「作ったまま何年も触られていない」状態にあります。

そのうえで、4つの軸で比べます。

4つの判断軸での比較
判断軸WordPress+レンタルサーバーSanity+Astro+Cloudflare
保守の手間本体・テーマ・プラグインの更新が続きます。更新のたびに表示崩れの確認が必要です公開側に更新すべきプラグインがありません。日常の更新は文章と写真の差し替えだけです
AIへの伝わりやすさ情報がHTMLの中に文章として混ざります。プラグインで構造化データを足せますが、本文との食い違いが起きがちです事実を項目として持っているため、本文と一致した構造化データを毎回自動で出力できます
コストサーバー代に加えて、有料プラグインと保守費がかかります。事故が起きたときの復旧費は別です配信側の費用を抑えやすい構成です。保守の範囲はご要望に応じて選べます
表示速度表示のたびに組み立てるため、キャッシュの工夫が必要になります出来上がったページを近い拠点から配信します

向いていないケースもあります。

  • ネットショップや会員機能が事業の中心にある
  • 毎日、複数人が入れ替わり立ち替わり更新する
  • すでに特定のWordPressプラグインに業務が深く依存している

このどれかに当てはまるなら、無理に移す必要はありません。

よくある質問

移行によって、SEOのランキングは落ちませんか?

既存のURLを引き継ぎ、変わる場合は転送(301リダイレクト)を設定します。設計段階でURLの対応表を作ってから移行します。なお、順位は検索エンジン側の判断であり、上がることも下がることも保証はできません。

すでに公開している記事は移せますか?

移せます。記事数が多い場合は、機械的に移す方法と、この機会に整理する方法をご提案します。

本当に自分で更新できますか?

更新する項目を先に決めて、その項目だけが並ぶ管理画面を作ります。過去には操作マニュアルも一緒にお渡ししました。公開後はご本人が更新しています。

費用と期間はどれくらいですか?

ページ数と、移行する記事の量で変わります。サイトの規模がわかれば概算をお出しできます。期間は、ヒアリングから公開まで最短で約1ヶ月が目安です。

WordPressのままページ速度を速くできませんか?

できます。サーバーの移設、不要なプラグインの整理、画像の最適化で改善します。ただし、AIに伝わる形に情報を整理し直す部分と、プラグイン更新の手間そのものは残ります。

AIに必ず引用されるようになりますか?

なりません。引用するかどうかはAI側の判断です。できるのは、引用されうる状態——情報が構造化され、読み取れて、新しい——を作るところまでです。そのうえで、この状態を作っている日本企業はまだ少数です。

ご相談について

AI時代に向けたWebサイトの作り替え

Webサイトを作り替えるかどうかは、急いで決めることではありません。ただ、今失っているものが何かは、早めに把握しておいたほうがいいと思います。

弊社では、AI時代に合わせたWebサイトの構築を月に1〜2件限定でお受けしています。設計から公開、操作マニュアルのお渡しまで、私が直接担当します。

現状のサイトを拝見して、5つのうちどれが当てはまるかをお伝えするところからで構いません。お問い合わせはこちら

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